外食産業の勝ち組

吉田理宏氏

1964年北海道札幌市生まれ41歳。86年小樽商科大学卒業、(株)日本LCA入社。採用教育に従事。
独立後(株)リージョンビジネスプロダクション設立、その当時の営業でワタミの渡邉美樹社長と出会う。「人材開発」をテーに数多くの成長企業のコンサルティング実績を持つ。ベンチャー企業における採用戦略・採用管理には定評があり、現在もワタミグループにおける採用教育のリーダーとして最先端に立つ。

■ 講 演

「外食産業の勝ち組ワタミ(株)の人財力、採用力の秘密」

 皆様、こんにちは。ワタミユニバーシティの吉田でございます。本日は、大変緊張しております。私自身も成長途上でありますし、ワタミと言う会社も成長途上でありますので、成功例や勝ち組としてお話できるか疑問ではありますが、皆様方と同じように苦しみながら戦い続けている様子をお話しさせて頂いて、お役に立てればと思っております。

企業の成長は「採用力」にある。

●採用を考える上で大切なことは、企業とは何であるのか、採用とは何であるのかの定義付けをすることである。
1.企業の定義〈ワタミの場合〉
 「思い」を「形」にするという言葉をよく使う。つまり、「思い」を持つ「人」が集まって「形」にしていく場所が企業であると考えている。
・「思い」についてワタミは2つ持っている。
 ①ありがとうを集める
  自分以外の人の役に立つこと。これはワタミの仕事の定義としている。
 ②働くことを通じて人間性を高める
  ワタミでは、「人間は人間性を高めるために生まれてきた」と表現している。
  つまり、①と②をやろうとする「人」が集まって「形」にする場がワタミである。
2.採用(就職)の定義
 ①自社(自分)がより良い存在になる為に必要な人(企業)と出会うこと。
  企業と人は共に歩いて「互い」により良き存在になったときに幸せになる。
 ②企業の中に人を入れる活動ではなく、人の中に企業というものの考え方を入れること。
  採用担当者の仕事は、どの人が自社に適しているかを視る事ではなく、その人の中に自社の思い、考え方、文化が入るかを確認することである。
●採用活動の際、経営者と人事担当者が基本的な姿勢・方針を共有することがとても重要です。
 ただ人を集める採用では不安である。いかに思うように会社を作っていくかにおいては、経営者と人事担当者が経営的・思想的なところで一致していなければ上手くはいかない。
●企業としての採用活動の評価は4つある。
 ①Quantity(量) ②Quality(質) ③Timing(時機) ④Cost(費用)
 →必要な人(質)を必要なだけ(量)タイミング良く、コストを抑えて採る。

 現実的にワタミは8年前、母集団400名から20名採用しました。その時点で80%が外食に就職したい学生でした。それが今年、母集団が13,300名となり450名を採用しました。外食に就職したい学生は約10%でした。要するに外食をやっていたワタミが、外食もやっているワタミに転換したのです。
 最後に教育について極論すれば、人は育てられないと思う。育てるのではなくワタミの思いに共感する人材を集め、その思いを共に達成するプロセスを通じて高め合う関係を、環境をつくること。哲学的になるかもしれませんが、「何故ワタミで働くのか」「何故ワタミなのか」の答えを社員と一緒に探すことが教育ではないでしょうか。今後の皆様の採用、仕事の参考になれば幸いです。本日はありがとうございました。

インサイト No.9
2006年1月10日

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