ソーシャルメディアを活用した採用戦略とその可能性 〜「共感・共有」の時代における「原理・原則」

株式会社ザメディアジョン・リージョナル 代表取締役 北尾 洋二 氏

定期開催していますヒューマンキャピタル勉強会を、さる9月19日(水)に開催しました。  
講師には株式会社ザメディアジョン・リージョナルの北尾社長をお招きしました。
ITの進化は留まることを知りません。中でも今年急速に利用者が増えたのがFacebookです。
多くの就活生が企業とのコミュニケーションツールとして活用しています。そんな最新情報
と、今後人事部門で取り入れる上での利点およびリスクに至るまで講演頂きました。
当日の内容を報告いたします。

採用の失敗を防ぐ 適性検査HCi-AS

■ 講 演

〔はじめに〕

 皆さん、こんにちは。北尾と申します。このヒューマンキャピタル勉強会の最年少講師という事でご紹介を頂きました。若輩34歳です。上には上がいるものでジョブセンスの村上社長は26歳で東証一部上場されました。頑張らないといけないなぁと思います。
 では早速始めます。正面に写した画像は、この会場内の15分前のFacebookにアップした写真です。ソーシャルメディアを使うと、この様にいとも簡単にライブ感覚で、リアルタイムで現在の状況が公開できます。これが強みです。今は様々なソーシャルメディアがあります。Facebook・twitter・mixi・GREE・Google+・USTREAM・YouTube・ニコニコ動画・ツイキャス・ブログ・はてなブックマーク・ LINE、全部知っている人、活用している人、いますか?
 アメリカの経営学者ドラッカーは、40年前から様々なことを提唱しています。「知識社会化」IT革命・高度情報化社会と「高度輸送時代」、モノで言えば新幹線・LCCを予言しています。画期的ではなく「原理原則」は同じです。より安く、より早くがキーワードです。

〔情報を持つ・情報を入手するということ〕

 ひと昔前、戦後日本を牽引した繊維産業の社長自らが、多額の費用をかけ最新トレンド発祥地パリへ行き、情報を持ち帰り、社内に伝え、新しいモノを作る。その時の決裁者は社長です。何故なら最新のセンスある情報を全て持っているのは社長だから。その判断は全て当たり、カリスマ性を持てました。今から半世紀前の話です。産業革命以前のヨーロッパの識字率は、なんと3%。貴族と宗教関係者だけ。TOP層だけしか情報が扱えなかったわけです。
 要するに過去(昔は)「上意下達」、つまりトップダウンが仕事のやり方でした。今やこれは逆転しています。1995年のウィンドウズ95を境に上意下達は崩壊。情報が平等に上から下まで流通するようになり、今誰が一番情報を持っているか? 答えはオタクやマニア、若しくは奥様。一番情報に触れ、現場の最新情報を知り、様々なトレンドを動かしているのは一般市民で、一番情報を知らないのは誰かと言えば、逆に社長です。上に行けば行くほど情報に疎くなる。小売業のトップが現場から離れると必ず衰退します。現場・店舗、底辺に全ての情報が集約され社会が動く。情報を司る事で社会は一変します。技術や仕組みは進化したが、人間や社会・文化は大して進化していません。ソーシャルメディア云々もありますが目的と手段の問題。情報を一番に摂取したいと思うなら「情報発信」が手っ取り早い。「情報くれくれ人間」には、情報が全く入りません。情報開示、自己開示するほど情報が入る。「私には情報が入ってきません」という人ほど自分から情報発信していないのです。

〔「経験をデザインする」ツール〕

 情報発信から「コミュニケーション」へと進化。広告も複雑化し、交流やコミュニケーションに軸足を置いています。「テレビで双方向やるか?」誰もやりません。インターネットに取って代わっています。「組織の発信」から「個人の発信」へ進化。結論を言います。社長がソーシャルメディアを上手く活用し、情報を集めたいなら、まずFacebookか、twitterのアカウントを取って下さい。情報が簡単に集まります。「個人の発信」に注目すると、その後ろにある大きな「組織の発信」に触れる、繋がります。「ソーシャルメディア」の特徴は、「情報」「場所」「時間」「思い」を共有すること。テレビ・ラジオ・新聞では絶対に無理。まずこれをインプットしてください。どこでも「発信」と「収集」ができるのが強みで、これは技術革新・IT革命=スマートフォンだからです。今や就活学生の半分以上のアクセス方法、エントリーなどはスマートフォンです。

〔ソーシャルメディアの基礎知識〕

 ライブメディアとアーカイブメディア。「ブログ」は記録を残すアーカイブ(記録)。固定で日にち区切りでの記録。ライブはWEBカメラ、スマートフォンカメラがあれば何時でも動画配信が出来るUSTREAM(米製)やツイキャス(日本製)がそうです。電池と電波があればライブ配信可能。動画配信と言えば、YouTubeですが元々は動画投稿サイトです。現在YouTubeliveもありますが、我々のような一般的ユーザーではアカウントは取れません。それ以外のFacebookはTL(タイムライン)時系列です。twitterは、つぶやきで絶え間なく情報がきます。更につぶやいた事をもう一回誰かが横流しすること=Reツィートして広がります。Facebook・twitterは、限られたソーシャルのコミュニティで、時系列で押し流されていきますから、目に触れているのは当日から3日くらい。面白いのが、アーカイブとライブの中間だということ。そこにコミュニケーションが生まれている。ここが大きなミソです。「うわー、面倒くさそう!」と思われた方がいると思いますが、押えておきたいポイントはコミュニケーションです。組織融合が出来ない、何が問題か。アーカイブとライブとコミュニケーションです。今の若手はアーカイブとライブを上手に使っています。若手社員に報告書をメールに添付して報告するように指示を出すとメール送信してきます。が、「メールを送信しました。見ておいてください」という「報告の報告」はありません。上司は怒り、若手社員はキョトンする。この違い、ズレに気付けるか、気付けないかが大きな違いです。

〔ソーシャルメディアの採用活用〕

 共感の時代だからこそ「人」は「人」に共感し、「共感」から「行動」に移るとき、「人」から「組織」に意識が移り、「共感」から「信頼」へ変わります。「信頼」なくして「行動」なしです。つまり実際に関わろうとする時に、その相手が信頼できるかどうかが重要な判断基準になってくるのです。ソーシャルメディアは就職活動でも使えます。Facebookはエントリーシートと一緒です。内定者が何を考え、日々の行動、交友関係も分かります。検索したら一発で出てきます。見られている意識を持たなくてはいけません。そして情報の重要度は「発信者」ではなく、「受け手」が決めるという事を念頭におきます。「どう伝えたか」ではなく「どう伝わったか」を意識します。採用活動の現場では、企業ページをFacebookページに持ちます。そしてUSTREAMで会社説明会を行い、Skypeで面接する。もう実際に行われています。リスクとしては、この活用そのものがリスクとも言えます。個人情報が「ダダ漏れ」です。迂闊なことも勿論言えません。開示する情報には説明責任が出てきます。情報の取捨選択も必要。何でもかんでも開示すればよいわけではありません。情報発信は「タイミング」よりも「積み重ね」を重視して、行き過ぎに気をつけること。そして、できないなら、やらないほうがマシです。情報が古いままになっていてはイメージが悪くなります。
 最後に今後の展開・展望ですが、地域間格差はなくなり、情報摂取格差が広がります。自分から中に入っていかないと、蚊帳の外に置かれます。スポークスマンは、社長から現場社員までの意識で。出会いから内定までロングテールで見ていき、良い人材は「一本釣り」採用です。
 皆様のお役に立つ情報がありましたか?お気軽に「北尾洋二」Facebook・twitter・ブログでご相談ください。
 ご清聴有難うございました。

インサイト No.32
2012年12月19日

採用の失敗を防ぐ 適性検査HCi-AS

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