失敗から学んだ採用戦略

株式会社物語コーポレーション 代表取締役 小林 佳雄

失敗から学んだ採用戦略

 物語コーポレーションの小林です。今日は、人材採用の話ですが私は食いもの屋です。グループ売上が160億で会社本体が90数億の売上ですから、ついこの前までは小さな会社でした。
 さて、私は、もともと和食調理人ですが、その後焼肉事業とラーメン事業を始めました。ですから、会社の売上の大半は、焼肉事業とラーメン事業で成り立っています。
 しかし、世の中の学生で焼肉屋に就職したい、ラーメン屋に就職したいと言うのは皆無です。聞くところによれば、「飲食業でもよい」と就職するターゲットの中に飲食業を除外していないという学生が20%弱いるそうです。それでは、そのような学生はどういった企業に就職するかというと、飲食業でも上場している会社に流れてしまいます。ですから、飲食業でも、上場していない企業だと「学生が来ない」という実情があるんです。私の会社も一度上場しようとしましたが、BSE問題があり、まだ上場できておりません。
 今日は、私の会社の採用活動についてお話したいと思います。

【物語コーポレーションの現在の採用活動】
・新卒採用、一人当たりに掛かっている費用は約75万

・①リクナビ等の就職サイトから登録する学生は、約4,500名→ ②会社説明会に参加する学生は、約1,000名→ ③店舗見学ツアーに参加する学生は、約700名→ ④面接過程に参加する学生は、約300名→⑤ 役員面接に参加する学生は、約100名→ ⑥最終社長面接に参加する学生は、約60名→⑦ 社長面接まで来た学生、約60名全員に内定を出す。→ ⑧内定後、入社する学生は約35名。

・①ネットエントリーしてくれた学生には必ずお礼メールを送っています。また、会社資料を郵送する際には私の会社の食事券を付けて、自宅近くに私の店があるようでしたら来てもらうように仕向け、当社に対する興味を少しでも高めるようにしています。

・②最近の学生ですと、エントリーはするけど説明会には来ないことが当たり前になっています。それを防ぐために説明会予約をしてくれたら、即時お礼メールを送ります。その後も2週間前、1週間前、前日と定期的に出席確認等の理由を利用して電話し、学生に来てもらうようにしています。しかし、現実として説明会にエントリーしても2割の学生は来ないものです。

・③店舗見学ツアーからもう選抜が始まっていますが、私どもの場合、インターンシップも導入しています。これは、会社の良いところ、悪いところをあえてみてもらったり、社長、先輩社員の失敗談を直に聞くこと、話させることで、当社への興味を高める、または内定辞退を防ぐようにしています。

・内定辞退を防ぐ点で付け加えるとすれば、内定出ししてから入社までに3度の合宿を行っています。これは、合宿をすることによって内定者同士に仲間意識を生ませ、辞退させないようにしています。

・④、⑤、⑥の面接では、モチベーション面接を実施しています。ですから、面接時の採点手法は、減点方式ではなく加点方式を導入しています。当社の面接で重要なのは、モチベーション面接をしながら、その人の本質を見極め、かつ受験者の入社度を高めることです。これは、面接段階においても受験者の当社に対する入社したい度は、まだ低いと考えています。ですから、面接過程でも入社したい気持ちを高める必要があると考えているからです。

・私どもの採用評価において、大切にしているのは●コンセプチュアルスキル●対人感受性●表現力●人格です。(補足:コンセプチュアルスキルとは、論理的分解能力や優先順位で並び替えることができるかといった能力。)

 私は、理念を共有するために、「意思決定」や「自己開示能力」といった私たちの会社で頻繁に使う社内共通言語や業界の専門用語を会社案内の一部に社長語録として意図的に発信しています。
 会社がやっている会社の運営や判断や思想、どこまで理論や理想と自分の生き方を会社の運営とリンクさせるか。難しいですがそれを目指さないと自力での採用は出来ないと私は実感しております。
 以上が当社の採用への取り組みです。皆様の何らかの参考になれば幸いです。

 株式会社物語コーポレーションのURLは、http://www.monogatari.co.jp/

インサイト No.11
2006年12月15日

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