部下がうつっぽい?“うつ”をすばやくみつける方法

 定期開催をしていますヒューマンキャピタル勉強会を昨年12月15日(水)に開催しました。講師に産業カウンセラーで研修講師としても実績をお持ちの横山美弥子氏をお招きし、ご講演いただきました。
 従業員がうつ病になるケースが増え、私共のお客様でも関心が高いテーマです。当日は通常より多くのお客様にご参加いただき、横山先生の歯切れのよいお話に、皆様大変満足していただけました。当日の要約を報告いたします。

産業カウンセラー 横山 美弥子氏

■ 講 演

【はじめに】

 皆さん、こんにちは。今日は産業カウンセラーという立場でお話をさせて頂きます。【うつ】というテーマですが、あまり深刻に考えずに、私はこれを明るく楽しく学んで頂ければと思っています。今日は人事部門の方が参加されていると、ヒューマンさんからお聞きしています。みなさん是非、当事者意識を持って学んで頂きたいと思います。
 実は「心の問題」をやりますと前提意識が揃っていない場合が多いものです。精神科医は「心の病気」の専門家です。私のようなカウンセラーは「心の問題」の専門家です。「病気」と「問題」は違います。住み分けをきちんとすることが大切です。そして、精神科医やカウンセラーに診てもらう時にチェックリストで「眠れていますか?」に対して眠れていないのに「眠れています。」と言ってしまえば、それは「眠れている」という診断になります。本当のことを知っているのは本人です。心の健康を考える時には、本当の専門家は自分自身だというところは、必ずおさえてやってほしいのです。
 産業カウンセラーは、「産業」が付きますので主に分野は働く人がターゲットです。私は特に働く個人だけでなく働く集団もターゲットにしています。これが相談室で待つカウンセラーとの大きな違いです。
 お話したいことはたくさんありますが、今日は特に5つに絞ってお伝えします。

1.【必要性】

 メンタルヘルスに会社として取り組む必要性ですが、20年前はこうした話題が職場にあがる事はありませんでした。10年前くらいからでしょうか。「心の不調者」が増加しています。
 現在日本でどの位存在するかと言うと、約100万人です。『メンタル不全』は少し強い言い方なので、どちらかというと組織では避けた方が良いと思います。社員の「不調」によって会社の「生産性」が低下します。メンタルヘルス対策では生産性をあげるという大きな目的があります。そして最近では労働者保護という観点で、「労働安全衛生法」の施行があります。「労働安全衛生法」の順守が強く求められます。

2.【取り組み方】

 皆さんの会社では、いつ、誰が、どのように社員の心の健康に取り組むのか、決まっていますか?まず全体像が決まっているか。次に人事部がいつ介入するかが決まっているか。私の経験上、メンタルヘルスが一番悪くなるのは、会社規模でいうと従業員が100人を超えたあたりからです。100人を超えると、全員の顔と名前が一致しなくなって、オフィスが1フロアから2フロアになってきます。そうすると出てきます。ですから50人で準備を練り上げ、100人を超えたらGO!です。まずは「衛生委員会」を作ること。それが全社的取り組みの第一歩です。そして復職の「判定委員会」を「衛生委員会」が兼ねているというのが理想です。人事部が判定をするのではないのです。予防教育などにも「衛生委員会」が関与していくと良いと思います。休職期間と復職期間を決めておくのも必要です。それを人事部が主導して活動していくことです。

3.【出さない】

 予防策は、管理職も社員もメンタルヘルスの前提知識を持つことが大切です。これを研修などで揃える事が最初ですが、そのずっと手前を考えると私は「HCI‐AS」検査を導入するのは非常に良いと思います。ストレス耐性は個人差がありますから、そこを見分けるのに有効だと思います。2番目は、今の自社の状況を正確に把握する事。ストレスチェック表などのツールで把握します。3番目に大事なのは、仕掛けを作ることです。仕掛けの軸は、ストレスの軽減と仕事へのやりがいの増加を両面として、そしてそれを日常的にやる事と定期的にやる事の2つで仕掛けます。キャリア支援とメンタルを両面で考えていきます。

4.【見つけ方】

 予兆レベル=何かが何となくおかしい。でもこれを見極めるのが難しいのです。よくあるアルコール臭や遅刻・欠勤の回数、ミスや事故等々。これは中期・後期になって出てくる症状です。仕事の中で見つけられないと有効ではないですよね。
 具体的には。①連絡のない遅刻・欠勤が、月曜日・休み明けなどに月2回あれば予兆です。②身だしなみです。男性はひげを剃らなくなる、会社で剃る。女性はお化粧をしなくなる。歩くのが極端に遅くなる。③喧嘩・物忘れ。電話での喧嘩が月2回。物忘れが明らかに増える。④ミスは、ケアレスミス。数字、対象違いです。月に1回は誰でもありますが、2回になったら予兆です。⑤睡眠障害と食欲で判断します。眠れているか?食欲はあるか?とヒアリングします。⑥人間関係の変化時。新入社員、中途採用者、配置転換者、転勤者を2ヶ月以内でヒアリングします。⑦感情は、言動が本人の普段と真逆な場合は予兆です。

5.【接触】

 見つけ方で指摘しました7つの視点を2週間観察して3つ以上当てはまったら、即介入して下さい。事例性と疾病性がありますが、事例性でアプローチして下さい。仕事に弊害が出ている事を持ち出すことです。その時の根拠として、必ず「○月○日~の状況だ」を絶対誰にも分からないようにメモしておいて下さい。一つや二つでは甘いです。そしてタイミングが来たら「こういう事例がある。」と提示します。反対に疾病性は、病気かどうかを判断することです。「うつっぽいから病院に行って下さい。」これは絶対やってはいけません。カウンセラーでも判定はしません。上司が見つける上で、基本的に部下からはSOSを出してきません。ですから上司は「いつもの君とは違う」という比較をするしかないですから、「いつも」を知っていない上司は、声の掛け様がありません。ここが問題です。いつもの部下を知っていますか?部下のフルネームを書けますか?組織診断をすると、部下の家族構成や血液型を知っている上司の方が、職場のメンタルヘルスの出現が低かったです。

~まとめ~

 一般的にうつ病は女性の方が多いのです。中高年の病気と言われていますが、日本だけが30代中心です。部下に声掛けする時「最近どう?」これはいけませんね。「私から見て、どうも最近、身体じゃなくて気持ちの面で、とても疲れが溜まっている様に見えるんだけど、どうなの?」と、こういう聞き方を是非やってください。皆さんの会社にとって大切な従業員の問題です。人事の皆さんが先導して取り組んでください。以上です。
 有難うございました。

インサイト No.26
2011年4月5日