採用を失敗しない『面接力』
ヒューマンサポーター 長谷川満氏
定期開催をしていますヒューマンキャピタル勉強会を、3月10日(水)に開催いたしました。
講師には、採用業務のコンサルティングを手がける長谷川満氏をお招きしました。
前職で採用・育成の責任者として蓄積されたノウハウを、更に進化させて「低コストでより良い人材が採用できる」実践的な秘策をお話し頂きました。
当日の講演内容を、報告いたします。
■ 講 演
皆さん、こんにちは。採用のキーとなるのは面接です。面接力は人で決まると言っていいと思います。コミュニケーションが大切です。まず、今日ご参加のお隣りどおし、2~3人の組になって「自己紹介と参加のきっかけ」を会話形式で5分間程度話してみて下さい。これで随分と雰囲気が変わります。会社説明会や研修等でも、アイスブレイクが大切です。受験者には積極的に日常のネタを振って話し掛けたり、こういうワークを取り入れることにより、無理なく自然な空気が生まれます。面接官は人と対峙して見極めをします。人と接するのが苦手とか、こういうコミュニケーションが嫌いとか思っていたら、面接は出来ません。面接官も自分の心を開くことが大切です。では、始めて下さい。
<採用が成功する戦略>
採用初期段階でのツールの企画・製作は結構お金が掛かります。会社案内、採用HP、会社紹介VTR等の制作です。これをマイメディアと呼ばれるユーチューブ、ツイッター、ブログ等で会社説明会を告知したり、活用すると無料に近い形で出来ます。戦略的に無駄なお金を掛けず、自社に合う採用プログラムを組む為には、「やらないこと」を決める。思いつくだけの採用業務をあげてその中から優先順位を決める。「採用が成功する戦略」とは、①求める人物像を明確にして、②採用広告会社、採用支援会社、採用アウトソーシング会社などの言いなりにならず、③採用戦略から採用プロセスまで、自社で選び抜き、④究極の採用プロセスの設計を行うことです。
<成功する採用ダンドリ力>
まず準備として大切なことは、ヒアリングです。人事担当者なら経営者に、求める人材や将来の会社の方向性を聞く事が必要。逆に経営者なら人事担当者にメッセージを出すことが大切です。ヒアリング項目は①経営理念、経営ビジョン、経営方針等、会社が目指す方向性②会社の風土、雰囲気③会社の強み④人材に対する想い⑤社員の将来像⑥求める人材像です。出来る限り明文化します。更に一つあげるなら「担当者があまり人事のプロにならないように!」。作り上げた会社案内や完璧な司会ぶりも過ぎると、逆に学生は親近感が生まれません。面接も同じで上手過ぎず、下手過ぎず。下手過ぎは駄目ですけど。あとは実際の面接の場面(やや新卒中心かと思いますが)どうやって入社までを組んでいくかです。応募者側から見ますと、認知⇒興味⇒入社意識⇒不安解消⇒入社です。会社側からは、媒体→選考→内定→入社ですが、いきなり合否だけを決める面接は、あまりよろしくない。また入社意識が確認できても直ぐクロージングせず、事前に不安解消をすると最終選考で逃げられません。次に大事なのが、押し引きです。良い点ばかりを伝えない。大変さの実態も教え、「厳しいよ」とか会社のマイナス部分も説明しておきます。次に順序ですが、①志向の合う人物を集めてから②資質のある人材を見抜く、という風にします。志向とは、会社の風土や理念。方針に合わないと思った応募者は自ら判断して次に来ませんから、そこで自動的にセグメントできます。
<私の成功談=5項目>
1.経営方針書を小冊子にして利用する/求める人材像を練り上げます。応募者にも経営方針書を読んでもらい質問します。応募者に興味関心があれば「ここはどういう事ですか?」とか質問が出ます。興味がないと直ぐに終わります。それはそれでいいのです。断るのも結構労力が要りますから。
2.学生さんにサプライズを仕掛ける/オリジナルの採用手法として「会社内に入ってもらい、仕事をしている社員へインタビュー」を実施。つまりグループワークの設定です。社員誰でもいいから聞いてOK!にします。これは、実は既存の社員の育成にも繋がります。
3.10名未満の採用の場合、大手就職サイトは使わない/マイメディアの利用や少し自分達で手間暇をかけます。採用とはどんな人を何人採るかが大命題。説明会に何百人も来てもらう必要はないのです。興味関心がない人は集めず、学生団体主催のイベントや逆求人イベントへの参加をお勧めします。人材紹介会社も価格が下がってきていますので有効活用できると思います。
4.良い面接官と悪い面接官/1.素直な人2.プラス思考の人3.信頼と人望のある人4.謙虚な人5.会社に惚れている人6.仕事ができる人7.応募者の心の服を脱がすのがうまい人8.シャーク&シャープ(サメのように鋭く、キレがある)9.エネルギーの高い人10.世話好きな人が良い面接官です。そしてプラスαは、会社のエース級の人です。
5.履歴書から見れる人物像/100%ではないですが、ある程度履歴書から読み取れる傾向はあります。
<具体的な面接法=7項目>
1.恋愛面接法~いきなり進めず応募者の心を開く雑談が大事。(天気や就活どう?とか)見極めない=マイナス面やアラ探しはしない。面接は悪いところが目に付くものですが、良いところを探す。褒めてあげることも大事です。
2.感性面接法~提出された履歴書の感想を逆に書いた本人に聞く。「履歴書返し」という手法です。日本人は結構正直なので素が出てきます。その際、散々マイナスなことを言う人は駄目です。新卒採用なら課題を与え、提出された物で判断します。
3.素直さ、行動力発見面接法~新卒採用ではこの2点はキーだと思います。「その場で立ってください。」「次に指を動かしてください。」「終わりです。」という指示を有無を言わさずします。これは誰でも出来ることなのですが、指示された時の反応を見ます。「なんでこんなことするの?」とか「だるそう」にする反応なら素直さ、行動力に?が付きます。
4.確認面接法~履歴書だけで判断しない。適性検査もそうですが、HCi等の客観的ツールを利用する。
5.価値観すり合わせ面接法~理念・ビジョン・方針を提示し理解してもらう。質問をさせてみるのも有効。書面なりHPからの質問を受け付けると、表面的な質問であれば、質問力が無い=興味が薄いと判断できます。
6.嫌われない面接法~面接でファンを増やす=敵を作らないことです。ネット社会ですから気をつけてください。応募者からすると合否理由が明確でないと、悶悶とします。不合格連絡をしっかりすることも大切です。納得感のある不合格がとても大事です。対処法として、「誰も答えられないような難解な質問を1つ、2つ混ぜておくこと」です。例えば「雨と雲と霧の違いは?」等です。
7.サプライズ~ネガティブ情報をきちんと話せる企業は、魅力的です。応募者が驚くようなクレームや内情をきちんと話すと風通しが良く、情報が共有できている会社に映ります。以上です。ご活用下さい。
インサイト No.23
2010年6月11日