人事担当者のための「面接講座」〜面接力強化の前提〜

株式会社ヒューマンキャピタル研究所 主任研究員 北山 進

■ 連載 人事担当者のための「面接講座」

第2回 面接力強化の前提 -面接基準の作成-

「採用計画・実行(面接)・評価」のサイクルの中の、評価部分が抜け落ちていることについては前回述べた。評価作業がなければこのサイクルは回らない。この評価について当研究所での一つの試みを示しておいた。いずれこの問題はもっと掘り下げてみる予定である。

今回は起点としての、【計画部分】を面接強化の前提として取り上げたい。
計画作業にはいろいろあるが、中でも「面接基準」の作成は、面接力そのものを直撃する。言いかえれば必要な能力の基準化ということである。必要能力即、面接の基準である。
周知のように採用の流れは、職種別、通年制へと動いている。企業にとって、必要な能力を必要な時にが、この流れのキーワードである。応募者にとっても自分のやりたいこと、生かせる場をいつでも発見できる絶好のチャンスとなる。今、企業の必要とする能力を明確にすると共に、それを面接基準として設計することがキーポイントとなる。

さてこの必要能力が各企業において、どれだけはっきりしているのであろうか。左のグラフを見てほしい。採用基準のはっきりしている企業は、わずか22%だ。ないのは、併せて75%なのだ。

企業の必要能力は、採用基準であると同時に「面接基準」となることは前にふれた。基準なき面接は、戦力的人材の採用失敗を必ず招く。計画の中のプライオリティーの第一がこれだ。コース別採用も通年制も、これなくして効果は得られない。200万のフリーターの中にも志ある人たちも少なくないはずだ。その人たちに答えることにもなるであろう。
そこで基準のできている企業を探ってみた一例が次表である。

右の表は企業トップの打ち出す人材像の核心を、理論として表現したものであろう。しかしこれでは面接基準とはなりにくい。スローガンだけが踊って、実際には企業風土で採用しかねないのだ。もう一歩踏み込んで面接の「場」に働くものにすることが問われる。次にその具体的な形を例示してみよう。

右側が具体化したもので、もっと多くしてみることも考えられよう。職種別コース等、いろいろ工夫してみたい。

このように「観察チェックリスト」のような形にして、後は面接の際に掘り下げることである。以上の点をしっかりやらないと面接ミス10%(統計的に実証ずみ)の壁をクリアすることは難しい。いずれにしても「必要能力」は量で計ることのできないクオリティーが中核となる。
だから面接しなければ把握できない。面接力とは能力の「質」をどれだけ正しくつかむかによってその成否が決定される。

インサイト復刻版 No.2
2004年1月23日