第55回 アシスタントベース営業担当者
「第51回 アシスタントだらけの会社でうまくいく」では、「中小企業に有効なスタッフ採用、および育成方法」について考えました。マーケティングや営業など職種を限定すると、それに固執して他の仕事には挑戦しなくなってしまうのと、経験を積んだ後転職されやすいのが、中小企業にとって大きなリスクです。その対策として、仕事を限定せず、どんな仕事でもやってもらうアシスタントを採用する、というのは大変有効な手段です。また、アシスタントというタイトルだと転職しづらいのも、転職防止となり中小企業には有利です。ある意味では日本でいう総合職に近い採用方法です。
日本人は安定を求めて大企業を選ぶ傾向がありますが、その場合、職種は自分で選択できないので、どんな仕事でもやらざるを得ません。一方で、ベトナムでは就職機会が少ないこともあり、安定を企業ではなく職種に求めます。そのため、総務、庶務、人事、経理のようなバックオフィスの職種はとても人気です。安定した仕事に就きつつ、さらに副業をしたり、役職に就くことで、それに紐づくインテンシブ(非正規も含む)で所得を増やします。そうしてある程度の年齢になれば、それなりの所得が確保できるわけです。
こう考えると、優秀な営業マンが少ない理由が見えてきます。
優秀であれば、日本語、英語などが堪能で、安定を求めて、営業以外の仕事、例えば、アシスタント、総務、秘書の仕事に簡単に就けるのです。一方、外国語のできない子が営業職に就くわけです。そこで、優秀な営業マンになったとしても、外国語が分からないので、日系企業には流れてきません。結局、日系企業では日本人駐在員が新規開拓したアカウントに対して、ローカル営業スタッフがフォローアップするパターンが多くなります。能動的に新規開拓のできるローカル営業スタッフはいつも需要があるのに、人材そのものが不足しているように感じています。
そもそも、営業は難しい仕事でしょうか?やっている人間からすれば、特別に難しい仕事ではありませんが、やったことのない人間からみると、数字を達成しなければならないというプレッシャーはとても大きく、敬遠する傾向があります。確かにプレッシャーのある仕事ではありますが、いきなり山の頂点を目指すのではなく、一歩一歩継続的に挑戦するやる気さえあれば、誰でもできる仕事です。営業は大変だ、という心理的な抵抗さえ除けば、営業に挑戦する人材を増やせることになります。そういう意味でアシスタントという仕事であれば、プレッシャーなく継続的に営業的な仕事をやってくれるので、都合が良いわけです。
しかしながら、アシスタントは基本的に若いので、ホテルの予約も含めて、経験していないことが多く、いろいろなことを教えないといけないことが分かります。
- ホテルの予約
- 宴会の企画
- 調べもの、レポーティング
- 顧客リストの作成、管理(エクセルスキル)
- テレアポ
- 移動の手配
- ミーティングアレンジメント、議事録の作成、回覧
- 商品の説明
- 提案書の作成
- 契約の折衝
などなど
一つ一つ簡単のようですが、相手を満足させるレベルまでできるかどうか、仕事の質が求められます。
日系企業を含む外資企業が、優秀で万能なローカル社員を採用できるように、弊社では「アシスタント育成プログラム」を企画しています。全部で50時間に及ぶ2か月間の学習になります。座学だけではなく、演習も行うことで、報・連・相、レポーティング能力、情報取集能力を身に着けてもらいます。
翻訳、通訳、または総務の仕事で終わらないで、能力をさらに開発して、フロントラインの仕事に挑戦してくれる人材が一人でも多くなれば、本人にとっても、企業、ひいては社会にとってもプラスになります。そのために頑張りたいと思います。
より多くの優秀なアシスタントを育成し、世に輩出することで、ベトナム社会の更なる発展に貢献できたら幸いです。