第37回 遅延について その①

「第20回 ベトナム人の計画性のなさ」でも社会の発展段階について触れましたが、社会が発展していくと人件費が高騰し、経済合理性がますます求められるので、自然に計画的な行動をとるようになると考えています。しかし、社会の発展スピードに社員教育のスピードが追いついていないので、社員に計画性のある行動を求める際、できる社員とできない社員の間に、圧倒的な違いが生まれています。それは仕事に対し、行動が遅延する度合いでもあります。

①計画性あり、遅延しない:これは素晴らしい社員に違いありません。

②計画性なし、遅延しない:「計画性がなくても、すぐ行動に移る」という行動の速さで仕事の効率性を担保し、良い成果をあげていくタイプです。優秀なベトナム人は、このタイプが多いですね。

③計画性あり、遅延する:実はもっとも厄介なタイプです。頭が良いので、きちんとした計画を立てて提出してきます。しかし、自分に甘いので実行力がないのです。そして、成果が上がらないのは自分のせいではないことを言わんがために、自分を正当化する理由ばかり並べる傾向にあります。

④計画性なし、遅延する:あまりないタイプですが、ゼロではありません。能力以上に高いポジションが与えられ、足踏みしているケースでは見られるタイプです。

この4タイプをみると、計画性がなくても遅延さえしなければ、組織人として役立つはずです。言い換えると、いくら計画を立てても実行しないことには何も意味がないことになります(当たり前ですが・・・)。

しかしながら、すぐ行動をとれない、いわゆる行動が遅延することは、多かれ少なかれ、誰でも経験しているはずです。やりたいこと/やるべきこと、どちらを選ぶか、そういう場面には必ず遅延が存在しており、遅延と戦い続ける必要があります。

この遅延と戦うことに関して、世の中にはたくさんの自己啓発に関する書籍があります。例えば、有名な Brian Tracy著『カエルを食べてしまえ!』とか、自己暗示であるNLPなどがあります。将来のビジョンを想像し、行動計画を作り、それに沿って、力強く邁進するのです。しかしながらこれは合理的ではあるものの、計画を邪魔する要因の多いこのベトナムという環境ではなかなか難しく、私自身も遅延に常に打ち勝ってきたとは言えません。

「自分に合うやり方は何だろう?」と考え続けました。

次回は、遅延に勝つためのひとつの方法について、話したいと思います。