第33回 仕事の成果とモチベーションを上げるには?

皆さんは、スタッフのモチベーションをどうやって維持しますか?

スタッフのモチベーションが高いと生産性も高く、また仕事に対する気持ちが満たされているので、お金に対する欲求もそこまで高くない人が多い場合もあるようです。逆にモチベーションが低いと、本人の生産性低下だけではなく、周りのモチベーションにまで悪影響を及ぼし、全体の生産性が悪くなります。他で何とか喜んでもらおうとして、福利厚生制度を手厚くしたり、お給料を上げたりして持ちこたえようとする会社さんは少なからず存在します。そうやって、我々の世界が出来上がっていると言ってしまえばそれまでですが、モチベーションについて、根本から考えてみたいと思います。

モチベーションを維持するために欠かせないのは、会社または上司からのフィードバックです。逆に言うと、フィードバックをもらえない活動なんて誰もやりたいと思えませんよね。ポジティブフィードバックの方が断然よいのですが、ネガティブフィードバックであっても、フィードバック無しよりは嬉しいものです。厳しい上司に怒られて「悔しい」と思う一方で、「それでも上司が構ってくれて嬉しい」と心の中で思ったことがありませんか?(私はMだからかもしれませんが笑)。だから、厳しい上司に多くの人々が集まってくるのも、よく理解できます。

しかしながら、基本的にSな性格(または、幼児的ともいう)であるベトナム人に対しては、少し訳が違います。怒られると怖くなってしまったり、反発して上司否定に入ってしまったり、関係修復できないケースが多くあります。簡単にいうと、ベトナムでは褒めて育てるやり方のほうが、断然管理者にとって楽で、成果も出しやすいのです。

一方で、ポジティブフィードバック(褒め)とはどんなものかを考えると、「自分が成長した」、「自分もこの組織に役立っている」とわからせるためのシグナルに他なりません。「成長したね!」「よく出来たじゃないか!」「助かるわ」みたいな感じでしょうね。

かと言って、私のように褒めるのが苦手な性格だったり、相手のできないことを見つけるのが得意な性格だったりすると、「褒めなきゃ」と思っても、正直になかなか難しいです。(日本人の方でも、私のように苦手な方が多いではないでしょうか?)その場合、各自で仕事の成果によってモチベーションをキープしてもらうしかないのですが、ここにも大きなハードルがあります。それは、(人材紹介業では、)そう頻繁にお客様からいただく案件を決めるのは容易ではない、ということです。何週間も自分の成果が軌道に乗らない中で、隣の同僚がバンバン案件を成約しているのでは、さすがに日に日にモチベーションが低下します。そしてそのサイクルが長引けば、「この仕事に合わないじゃないか」とますます自分を追い込んで、最後には離職となります。

また人材紹介業ではなく、車、保険、不動産のようにディールサイズが大きな営業では、どうしてもフィードバックが返ってくるには極めて長い時間が必要とされます。そのまま放っておくと、タフな精神を持つスタッフを除き、他のスタッフは辞めてしまうので、チームビルディングイベント、飲み会、お茶会などを実施して、スタッフのモチベーションを引き上げようとする営業チームが多いはずです。これはチームリーダーにとってかなりの負担になるので、チームリーダー人材が不足しているチームも多いです。結果として、営業チームを増やせないとか、また増やすと途端に営業管理費がぐんと上がってしまったとか、生産性を圧迫することになります。

上記の考えは、どうしてもマイナス的です。ここで私が言いたいことは、そういうことではありません。考え方やモノの見方を変えて、もう少しうまく運用できないか、と考えていたところ、ひらめきました。それは、個人の月次の売上実績を日々の行動に置き換えて可視化することです。毎日、ポジティブフィードバックをもらえる仕組みにするのです。具体的に言うと、先月までの平均売上が1000万円の営業担当がいるとして、それまでの月次平均訪問数が20件であれば、1件訪問すると50万円相当の価値があるとわからせます。2件であれば、00万円、3件であれば150万円のように、日々のみなし成果を計上して、スタッフの自主的な行動管理を促すのです。

当然みなしなので、締めると最終成果とズレることも多いです。しかし、計算がズレても、スタッフが毎日モチベーション高く業務に取り組んでくれて幸せであれば、最高ではありませんか?皆さんも、取り入れてみてはいかがでしょうか。