第26回 中間管理職ができない理由

仕事柄でよく経営管理者(ベトナム人、日本人)とマネジメントの課題について話したりします。そこで、よく聞くのは「うちではマネージャーらしいマネージャーいないよね!」とか「なかなかマネジメントできる人材は採用できていない」など、中間管理職に対して、質量ともに不足していることに浮き彫りになりました。

おそらくベトナムだけの問題ではなく、開発途上国ならではの問題かと思います。開発途上国だから、タイミングが合っていれば、比較的に簡単に起業出来て、それなりの成果を上げることはできるから、数多くの起業家ができるわけです。問題はここにあります。この起業家たちはスタッフから一気に経営者(社長)なったため、ちゃんとした管理者(マネージャー)の経験および学習をしていません。よって、社長でありながら、指示自体もタスク中心で、うまく優秀なスタッフを育てられないわけです。本人が経験していない中間管理職なので、いつまでたっても中間管理職を育てられないわけだし、仮に採用できたとしてもうまく活かせないわけです。本人は一所懸命やっているわりにスタッフが育たず、会社自体もこじんまりで終わってしまいがちです(※弊社も人のことを言えないかもしれません)。

上記のことは日系現法にもよく当てはまります。なぜならば、ベトナムに赴任される日本人責任者の多くは本社では課長レベルで部長や役員の職務を経験されておらずに、いきなり現法代表になったわけです。ベトナム人経営者と同じく、中間管理職を育てられないし、採用してもうまく活かせないものです。

さて、日本ではこの管理者不足問題をどう解決しているのでしょうか?どうも1960年代の高度経済成長期、つまりものを作ってバンバン売れた時代は、そこまでマネジメントは重要視されていなかったようです。しかし、その後のオイルショックなどで、危機に立たされた会社は銀行の管理下に置かれ、銀行から役員を派遣して、経営を立て直しする流れができあがりました。(統計はないが)今でも銀行出身者を役員として起用する会社は少なくないはずです。銀行との関係を維持して資金調達しやすいようにするいわゆる天下り的な人事もあるかもしれませんが、経営手法のわかる銀行OBがそれぞれの中小中堅企業に入り経営指導してもらうのはとても有効なリソース活用と思いませんか?こうやって、オーナーも学習できて、管理手法も磨かられ、その過程で、中間管理職も育てられ、あるいは雇用できて、ビジネスが着実に伸びるわけです。

日本は仕組みとして出来上がっていますね!