第23回 育ってくれてありがとうございます。

弊社ではOB・OGとの関係を大切にしています。月一回開催している会社のパーティーには個別に誘ったり、恒例の忘年会にはOB・OG全員を招待してきました。しかし、OB・OGとの関係性は様々です。よく来てくれている元スタッフは自ら遊びに来るし、手土産も持参してくれますが、招待しても中々顔を見せない子は何度招待しても応じません。ご推察の通りかもしれませんが、よく遊びに来てくれて、関係性良好な元スタッフはよく仕事ができていたもので、一方で、中々来てくれない子は問題児だったり、とにかくパフォーマンスが平均以下の子がほとんどです。面白いことに、その違いも退職時に表れています。

  • 関係性の持てないOB・OG:会社を褒め、大変感謝していますと強調している
  • 関係性良好なOB・OG:自分が成長させてもらったと感謝もしますが、そこまで強調していない

その違いはどうしてかと考えてみました。

自分のことで恐縮ですが、現在経営しているHRnaviを除けば、今まで、2つの職場を経験してきました。そこで気づいたことは、次の職場へ移ってから2~3年ほど経過した後、やっと直前の職場で学んだことが分かるようになる、ということです。2、3年経つと元上司ぐらいのポジションになり、やっとしてもらったことが理解できたからだと思います。私の場合はすべて円満退社だったので、お世話になった元上司に連絡して、会ったり飲んだりします。かと言って、それぞれの会社で退職したときはどうだったかというと、実はそこまで強く感謝していませんでした。自分はやれることはやったし、将来的にビッグになって恩返しするし、次世代も育つと心の中に思ったわけです。言い換えると、感謝していますと強く言葉には出しませんでしたが、将来の行動で恩返ししたい思いはありました。

一方で、「感謝しています」と強く表現している弊社一部のOB・OGはどういう心理だったのでしょうか。
弊社スタッフを含めて、ベトナム人スタッフは基本的に純粋な子が多いので、本当に感謝しているかと思います。未経験の新卒で入社して、それなりのスキルを短期間で取得して、結構よい待遇で転職できたので、感謝されました。得たものよりも自分たちのアウトプットは少なかった(パフォーマンスが良くない、勤務期間が短い)ので、どこかしら申し訳ない気持ちがあり、その気持ちの表れもあって、「感謝しています」と強調するわけです。ある意味では相手(会社)のためと思って、感謝するのではなく、自分の気持ちを整理するためにやっているもので、退職したら、(とても残念ですが)逃げ切る感じがします。

経営者としては、感謝されてもされなくても、過去の出来事なので、実は大して気にしていません。自分は先輩たちから教わったので、後輩に教えていくことはある種義務と考えています。一時的な綺麗ごとよりも、退職後も頑張っていほしいし、良好な関係を維持したいと思っています。本当に言うと、感謝されるよりも「この会社では十分に貢献した。次にもっと大きなことをやりたいので、退職します。」そういう気合のあるスタッフがきっとそのうちに現れることを願っています。

次回は、「こうなりたいので、投資してほしい」について、考えたいと思います。