第21回 関心を示してほしいベトナム人の心理について
ベトナム人同士の世界では周りに関心を持ち、気を配ってくれる人はとても評価されています。当然ながら、無関心よりは関心を持たれる人は付き合っても気持ちいいが良いわけで、評価されるのは当たり前ですが、どうも表面的な関心が評価されるように思います。
代表的なのは「ご飯を食べましたか?」という挨拶です。
これを言うからと言って、一緒にご飯を食べに行こう、何か作ってあげようではないです。単なるあいさつで、相手の状況を確認するだけですね(面白いことに、タイ人も同じようにこれを尋ねる)。同じように、元気ですか?今日はどうだった?ビジネスが順調ですか?などなどを聞いておいて、そこからさらに掘り下げて、何かしてあげることはほとんどありません。それにしても、このように関心を示すことが評価基準になり、できない人、あるいは私のように不得意な人はなかなか関係作りにかなりの時間を要します。
とくに政治の世界では顕著です。役人が発表する機会があれば、お互いのニックネームで呼びあったり、お互いの過去の出来事を思い出したり、そして、物事を大きくして、相手を褒めたりしています。日本人なら、恥ずかしいと思うぐらい褒められますが、ベトナムではそれが一般的で、褒められる本人はとても喜んでいます。それが良い関係の証だと認識し合っています。私が知っているよくできる営業マンもこれに近い行動パターンでかなりウェットな関係性を持たれています。
このように関心を示してほしいのは、自分は特別な存在だと思いたいのと、確認したいからだと思います。若者がフェースブック投稿して、どれほどコメントや「イイネ!」を集めれるのを気にしているのと同じことでしょうね。誕生日会、国際女性の日、ベトナム女性の日、経営者の日などはやはり個人の存在感を高めるための意味が多いです(日本の敬老の日、みどりの日、海の日などなどはニュアンスが違うように思います)。そして、交流会の中で、いきなり話題を変えて、自分の話を語り始めのは決して珍しくありません。自分が特別な存在である思いが強く、我慢できず、しゃべってしまうわけですが、フェースブック投稿と同じように表面的なことが多いです。
おそらく、ベトナム人と日本人とで、人間関係構築に関してのパターンは違うように思います。
ベトナム人:キャッチボールのように、自己アピールとそれに対する関心を示す➡信頼関係構築➡お互いのために思う(取引開始)
日本人:お互いの裏を読む➡信頼関係➡お互いのために思う(取引開始)
逆にいろいろ裏でやってあげても裏を読む力の弱いベトナム人はなかなか分かってくれないのも理解できます。何かやってあげたら、それもあえてアピールしないといけないのです。それができないなら、中間管理職に言わせるのも効果的なやり方です(私はこればかりさせています)。それから、社員が特別な存在と思わせる活動を多く構築するのもよいと思います。入社記念日、社長と夕食会、MVP賞(Most Valuabe Professional)、フレックスタイム勤務などなどが考えられます。
社員それぞれが特別な存在であるメッセージをしっかりと出すと同時に、裏を読む力(感謝の気持ち)を養うことで、よい組織ができると考えています。
次回は、転職がステップアップと勘違いしているベトナム人について、考えたいと思います。