第15回 権限がないから、誰にも指導できませんよ!

先日、ある些細な事が発端に大きな問題に発展したことがありました。新人のAnieさん(仮名、弊社では英語名で呼び合っています)がみんなで昼食食べようと事務所全員(と言っても20人ちょっと)にメールで声をかけました。メールリストで流したので、故意かいなかは定かではないが、ある部署へ配信しないことになった。すると、ランチの時間になって、その部署のメンバーだけが、取り残され、仕方なくお留守番になったわけです。

気にするほど、大したことではないかもしれませんが、残念ながら、女性の多い職場なので、みんなが必要以上に気にしました。「自分たちは仲良くしようとしているのに、なぜ、外されるの?」、「そうするなら、こちらも誘わないよ!」などなど。「誘われないなら、自分たちから誘ってあげればいいじゃないの?」とアドバイスしても、絶対いやだという、なぜかやや戦うモードでした。小さなオフィスなので、このまま放っておくと社内雰囲気も居心地も悪くなるので、「Anieさんは単に分かっていないだけかもしれないから、直接話してあげれば、どうですか?」と1年上の先輩であるJolieさん(同じく平社員)に助言しました。「いやです。私は権限がないから、誰にも指導できませんよ!」という。

確かに平社員同志なので、相手に怒ったり、指導したりする権限がないのはおっしゃるとおり。しかし、業務指導ほどのことではなく、ちょっとした注意で、ちょっとした気遣い程度なので、権限とは関係なく、普通にやってほしかったです。私は日本と関わって長くなりましたが、思えば、そういう世話好きな日本とよく出会いましたね。就活時に研究室の先輩が「日本語がハンディだと思ったら終わり!」、職場の先輩からは「クライアントから紹介される先は大事にしなさい」、「弁当ばかり食べないで、みんなとランチでも食べた方がいいよ」(笑)などなどです。

そもそも、日本では定期採用しているため、はっきりとした後輩先輩の関係ができています。先輩方から教わったので、今度、後輩たちに教える伝言ゲームができますが、ベトナムでは基本的にキャリア採用なので、後輩先輩の意識はまったくないです。それにしても、後輩に注意する内容というのはほとんどコミュニケーション上の注意点だと思います。相手の気持ちを十分に考えて、行動したり、相手に便利になるようにおもてなししたり、主に年上が年下に教えるようなことです。つまり、後輩先輩という概念がなくても、年上年下関係さえあれば、同様に注意しあう文化ができるのではないかとみています。

予定として、今度、社内の組合長と相談してみます。組合の中で、平社員に限定して「生まれ年の会」を作ってもらいたいですね。ざっと頭の中で、考えると弊社では、95年会:8名、94年の会:5名、93年の会:3名がいます。生まれ年の会で、関係維持をしてもらって、それから、年下に対して、お世話する考えを植え付けていれば、そのうちに理想の組織になるのではないかと期待しています。また、報告します。なお、このような会運営は会社が介入すると硬いので、組合の方でやらせた方がいいという点がポイントです。

次回は「関心のないことは、調べませんが、関心のあることは調べていますよ」の罠について、考えてみます。