第9回 ノーと言いたがるベトナム人

社員との絆を高めようと思って、たまに営業部で飲みに行こうと誘うと、毎回毎回ノーという社員が多く、開催できないことも多いです。夜間学校に行く、家族の用事、お酒は飲めないなどなどとことごとく断られます。今度、会社の恒例行事にしたら、出席率が高められるが、決まった仲の良い同僚と固まったり、ゲームやスピーチに積極的に参加せず、早退したりして、実にノリの悪い社員が多いです。私が日本で働いた頃にはほぼ毎日何かしら社内の飲み会があり、2次会、3次会までやって、絶対参加は暗黙のルールだったので、ノーと簡単に言えるベトナム人社員に対して、ものすごく違和感を感じています。

そうは言っても、私もそう簡単に日本的な付き合いに慣れていませんでした。
社内の飲み会は時間の無駄じゃん?会社の運動会で参加がMUSTって、社員の権利を尊重しないじゃないか?創業者の執筆著書を買わせる会社ってホントに大丈夫なの?
しかし、とてもノーと言えるような立場ではなかったし、断れる雰囲気ではなかったので、不満を抱いてもいやいやなYESで行動を取ったら、意外と楽しかったとよく記憶しています。社内飲み会で次第に同僚の絆が深まり、信頼しあえるようになる。運動会で一緒に汗を流して、結束力が高まる。創業者の著書でより会社を理解できて、ある意味で愛社精神が増して、よかったです。そのうちに、だんだんとYESとした方が得と学習して、自然とノー答える頻度が劇的に減りました。

やはり、若いうちには強制的にノーを言わせないのは必要だとつくづく思います。

しかし、このベトナムでは日本ほど、チームワークを意識するような教育をしていないので、どちらかというと自己を固定化する個人プレーになりがちです。社会風習を逆にするような日本的な強制行事はなかなか厳しく、不評を買ってしまうと今後の採用にも影響してしまいます。

そもそも、なぜイエスではなくノーの答えを選びがちかとその理由を探ると実に面白いのです。
人間は慣れていないことや知らないことがあると微妙な不安や心地よくない感覚を抱いてしまいます。一方で新しいことや未知な世界があるとわくわくと楽しみにしている感情もあります。前者は頭で考えている場合、後者は感情で感じる場合の違いです。そういう意味で、ベトナム人がノーを言いたがるのは頭で考えて、心で感じ取れていないことも言えるかもしれません。強制行事で殻を破り、同時に感情豊かな社員になるように支援すれば、そのうちにバランス感覚の良い社員が増えるのではないかと考えています。

強制行事で、知らないことを知ってもらう

  • 飲み会
  • BBQ会
  • Family会
  • 読書会
    などなど

感情豊かになってもらう

  • 幹部だけの食事会で幹部間の絆を築く
  • 部署内の食事会で部署内の絆を築く
  • 文化、芸術、スピリチュアル感覚を磨く支援

さすがにここまでやると利益追求を目的とする企業がやるべきことではないかもしれません(笑)。しかし強いベトナム企業を作るためにはここまでやる必要がある気がします。賛同していただける現法日系企業が多くあることを願っています。