第6回 言い訳が多い病
ベトナム人のスタッフは言い訳が多いことは当たり前のように言われ続けています(汗)。
何か問題が起きた時に、その報告を求めると、延々と理由から始まり、理由で終わっています。
結果は何なのか?本当の理由は何か?今後に繋がる反省ポイントや対策などはまったくと言っていいぐらい、言及されないことの方が圧倒的に多い。
弊社スタッフでみると、いろいろと報告のやり方などを教えると半年~1年ぐらいでやっと報告らしい報告になります。それにしても、深いレベルでの原因究明や対策はまだまだです。代表的な事例をまとめてみました。
指導ポイント | ケース | 期待される効果 |
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報告は結論を先に言ってください。 | 延々と理由から入るので、すぐ止めて、「報告する方法を教えましたね。それに従って、もう一回報告してください。」と指示 | スタッフはビックリして、結果を報告するようになりますが、この指示を10回でもしないと、習慣化されません。 |
選択肢をあらかじめ用意して、上司に伺い立てる | 結論で終わっているケースもあれば、結論の後に延々と理由が続いているケースもある。「どうしたいの?」、「私(上司)に考えさせて、自分の意見はないの?」、「私(上司)が君のアシスタントではない」、「私に仕事を増やすな、自分で考えてこい」のような言い方をして、考えることを促す。 | 現状を報告したら、上司が考えて、対処方を教えてくれると勘違いするベトナム人スタッフが圧倒的に多い。このように突っ込まれて、初めて頭を使う子も少なくないはずです。何回も何回もこの会話をしないと、考えてくれません。 |
期待をはっきり伝えること | ある課題に対して、延々と現状報告をして終わる。報告する上司に何を期待して、何をやってほしいかよくわからないことも多い。「何をやってほしいの?」と回答させる。 | 上記同様、上司が考えてくれると期待したので、はっきりと上司に対しての期待をすぐ応えられない子もいます。これを繰り返すと、そのうちに自然とチームワークができて、相談もできるようになります。 |
問題があれば、すぐ報告してください。 | 「自分で処理できると思って、言いませんでした」というスタッフも少なくありません。とくに問題と認知しないことは、とても育成しづらいです。鈍感と言えるかもしれません。場数を増やして、失敗から学ぶしかないと思っています。 |
上記のOJTを6か月~1年でようやくまともな報告ができるようになりますが、なぜ、社会人の若年層ではこのような傾向が強いのかについて、考えたり、議論したしたことがしばしばあります。深い話ですが、何個か事実を見えてきました。
・教育方法:ベトナムの学校では何か問題を作った学生には反省文を書かせます。やってしまった悪さは同じでも問題を引き起こした背景や理由を考慮する習慣があります。その教育を小さい頃から受けると逃げ道として、たくさん理由を探す習慣が形成されてしまいます。ビジネス業界でいくら理由があろうと考慮してもらえない、許してもらえない事実を伝えることを繰り返し、個人に理解分からせてあげるとだんだんと理由探しの癖が剥がれていきます。
・無宗教:そもそも、言い訳する目的は責任を取りたくないあるいは責任を軽減したいからである。責任をとると自尊心(プライド)が傷つき、みじめになる自分を許せない。あるいは単純に怒られるのが怖い。宗教観を持ていれば、自分よりもずっと偉大なる神がいて、誠実な自分で生きていれば、神に近づけるという考え方を持っていれば、素直に自分の非を認めることになりますが、無宗教なベトナム人が多いので、実はあまり期待できません。
・家庭環境:ベトナムの家庭では日本と比較して、子供の個性を許容しない傾向がある。意識してそうしているのではなく、子供によくしたいがために、いろいろ強制した結果である。個性が許されない子供はどこか元気がなく、さらに自分の個性(プライド)が害されるではないかと心の中で、感じるはずです。そうやって、個性を保ちたい=ミスを認めたくない構図になる。言い換えると愛を十分に与えられない子供はなかなか勇気をもって、自分の非を認められないということになります。
ビジネスの場面ではどうにもできないことばかりかもしれませんが、背景を理解すれば、許しやすくなり、仕事もしやすくなりのではないでしょうか?私の会社ではまず、個別に指導することと個性豊かな会社には作りたいと思っています。それができれば、次第にスタッフにも波及することを願っています。
次回では「スタッフの主体性が低いのは日本人上司の責任!」について、考えたいと思います。