リーダーとして一番大切なこと

 去る9月28日に定例の弊社お客様向け勉強会を開催致しました。
講師には、株式会社モリヤコンサルティングの代表、守屋智敬氏に登壇頂きました。
守屋氏は神戸大学大学院修士課程を卒業後、建築設計事務所に入所し、地域再開発のコンサルティング業務に従事。その後経営戦略の要となる人材育成、主にリーダーシップの指導で実績をあげ、2015年に現在の会社を創業されました。
かんき出版から、『シンプルだけれど重要なリーダーの仕事』、本年9月には角川書店より『導く力』を発刊されました。当日は、企業発展のキーマンとなる組織のリーダーの役割とは何か、をテーマに熱く語っていただきました。当日のレポートです。

株式会社モリヤコンサルティング 代表取締役 守屋 智敬 氏

■ 講 演

 守屋智敬と申します。昨年私の初めての本「シンプルだけど重要なリーダーの仕事」という本をかんき出版より、今回は「導く力」という本を出すことになりました。なんと、偶然にも本日(9/28)が書店での発売日となります。ヒューマンキャピタル研究所さんと何か縁を感じます。

【はじめに】

 さて、私がどういうことを考えてきた人間かと言いますと、高校生の時、「人を幸せにする仕事がしたい」と真剣に思っていました。大学卒業後、街造りの仕事に就きました。そうすると、利権の構造に苦しむ企業や住民の方々を目の当たりにするんです。本当にこれでいいのかなって思うようになりました。建物や橋を作ることも大切ですが、企業で一番大切なのは人材ではないかと思ったんです。企業の人たちを幸せに導く仕事って何?と考え、教育を応援する仕事をやろうと決意しました。中でも、私自身リーダーシップというものに夢中になって、ほとんど独学なんですが、いろんな経営者の方に会ったり、部長・課長といういわゆるリーダーと言われる方と話をし、悩み相談等をしていく中で、結果的に「リーダー論」を中心に仕事をするようになりました。今日はみなさんと一緒に「リーダーとは、組織の中でどのような役割を果たす存在か?」を考えていきましょう。

<無意識の囚われからの解放>

 最初にみなさんにお話するのは「囚われからの解放」ということです。みなさん、「ハーバード大生が売れない芸人をやっています」と「売れない芸人がハーバード大学に通っています」この2つで印象変わりますか?印象変わりますよね。なんで変わるんでしょうか?これ実は「無意識の囚われ」という、手近な情報による誤信というものなんです。人は前に見た・聞いた情報に対して、非常に大きな影響を受けるんですね。同じことなのに違って見える。実はこのことがリーダーを苦しめているんじゃないかと私は思っています。過去のいろんな見聞きしてきた経験から、同じ情報でも見え方が変わってくるんです。そのため、意見を受け流してしまったり、なかなか考えが1つの方向に向かわなかったり。そこで、リーダーとして大切なことは自分を知ること、いかに無意識の囚われがあるかを意識する。そうやって自分を律するということがすごく大事です。

<リーダーになって最も変わるもの>

 次に、リーダーになって最も変わるものとは何でしょうか?これは「周りから見られること」だと思います。役割とか権限とか責任とか義務とか、こういうものも変わるものだと思うんですけど、1番大きいのは周りから見られるようになることなんでしょうね。
 周りの方からの期待が大きく変わる。結果として、リーダーとして仕事をするということは、メンバーや周りの方によって自分は決まってくるという事だと思うんです。「肩書がなくてもメンバーが付いて来てくれますか?」っていう問いに、明確に答えることができるでしょうか?肩書に関係なくとも、付いていくと言ってくれる人が1人でもいたら皆さんは立派なリーダーだと思います。

<リーダーの役割「私が守ってあげる」>

 リーダーがメンバーにできる本当の役割は何でしょうか?私は本当の役割はこれだと思っています。「私が守ってあげる」ということです。リーダーが動くというよりは、メンバーが動くことで成果が上がる。でも、メンバーは意外と勇気がいるわけです。勇気を持って動こうとしている時に「大丈夫だ」と言ってあげられるか、そういう場や空気を作ってあげられるのかどうか。心理的安全です。例えば、「意見を言っていいんだ」、とか「失敗していいんだ」と思える事ですね。この「守ってあげる」は何を守ってあげるのかというと、心理的安全という心の部分だけでなく、もう少し言うと「メンバーの幸せ」を守る。それを第一にする。本当にメンバーがやりがいを持って仕事ができているのか。ちゃんと自分の時間を大切なことに使えているのか。こういうことを「守ってあげる」事が結果として、わたしがやってもいいんだという希望を配っていくんですね。

<人と組織が変われない6つの要因>

 ここでは、人が変われない要因を6つ紹介します。
1.過去の習慣
 「頭でわかっていても前に培ってきた能力が邪魔してしまう」こと。これが過去の習慣です。これで人と組織を考えると、仕事って次々と発生します。ここで違うやり方をしようかなって思っても、もう次の仕事がきている。「いつものやり方でいいや」と思ってしまう。ずっとそれで変わらない。このようなことが起こりうるということです。
2.裏の目標
 「裏の目標」というのは、裏返すと「表の目標」があるということですね。例えば部下に、「君にこの仕事は任せた」ということが表の目標です。ところが、だめそうだと判断して、相談せず他の人に担当を変えたりします。これ実は、表では任せると言ったのに、裏では失敗してはいけない、成果を確実に出さないといけないという「完璧である」という目標があるんです。表より裏の目標の方が勝ってしまうのです。やると言ったのに、やれてないというのはたいてい裏の目標です。みんな裏の目標を持っているんですよね。ですが、表の目標を言ったんだったら、それを実行しないと信頼がだんだんなくなってきてしまいます。リーダーは自分にも無意識に裏の目標がないか考える必要があります。
3.心理的盲点
 「人は見ているものしか見えない」ということです。例えば、自分の腕時計の絵を今描いてください、と言った場合。なかなか描けないと思うんです。毎日見ているはずなのに、そういう風に人には必ず見えてない
ところがある。リーダーが数字や量を追いすぎると、感情や質の方を見れなくなってきます。これは会社の中でも一度確認をとっていただきたいですし、ご家族がいらっしゃったら、ご家族の行動や言葉ばかりを捉えるのでなく、その奥にある気持ちはどうだったかなあと、考えていただきたいと思います。
4.埋没コスト
 これは言葉の通りなんですけども、今までに使った時間や労力やお金を捨てきれないことです。賭け事なんかに一番多い。負けが込んできてもやめられないと言うのは埋没コストです。もうやめた方が確実にいいのに、まだなんとかなるんじゃないかと思ってしまい、ずっと同じことを続けてしまうということです。
5.コンフォートゾーン
 これは居心地の良い場所という意味ですけど、ここから出にくいんですね。人はやっぱり居心地のいい場所が一番いいのです。じゃあ、リーダーにとってどんな場所が居心地が悪いかというと、反対意見ですね。自分としては確信を持ったことに対して、違うんじゃないの?と言われるとカチンとくる。リーダーにも関わらず、ネガティブな考え方になってしまう。そのため、新しい環境に踏み込めないんです。
6.「他責のループ」
 これは、他人の責任と書きますけども、誰かのせいや何かのせいにして動かないということです。一人が逃げると最初はやろうと思った人も逃げてしまう。これがループになってしまうんですね。逆に自責はというと、自分なりに何かお手伝いできないかと考える。これが自責です。

 ここまで、人はなかなか変われないというお話しをしてきましたけれども、ここで大事なことは、だから変われないと思うのではなくて、こういうことを知ることなんです。無意識のうちにでも、自分が変われないということがあるのを知るだけで、実は変わってくるんです。

<まとめ>

 リーダーにとって最も大切なことは、どれだけメンバーそれぞれに「私が役にたつんですね」という希望を配れるかどうかです。今すぐにではないかもしれませんが「あなたのおかげでこれができたんです」と後から聞こえるかもしれません。でも、そういうありがとうございましたという感謝のフィードバックを、リーダー自身もできるようになっていただきたいし、もちろんやっていただきたい。メンバーもいろんな方からありがとうと言ってもらえる存在になる。そう導いてあげるということが必要なんじゃないかな、と思います。それがリーダーとしての最高の仕事だと感じております。ご清聴ありがとうございました。

インサイト No.48
2016年12月20日